1.立ち方
まず最初に股関節をタタミ、腰を極める。
(内腿に少し張りを感じる、腰は沈まないように注意する)
(1)騎馬立
両足を平行に立ちで、足の裏の全体が床に密着するようにする。
(意識として自分の体重がくるぶしの下に落ちる感覚)
膝を深く曲げる(内腿が締まる感覚を大切に)
鼠径部、膝、足首がそれぞれしっかり畳みこまれること。
腰が沈まない、むしろ下から持ち上げるように支える

膝はしっかり固定
(2)前屈立
騎馬立で両足底に体重をしっかり押さえつけた感覚を忘れないまま
体の中心が前後に4対6になる位置に立つ(加重は両足同じ強さ)
内股(大腿二頭筋とその内側の半腱様筋)が絞まるように
(前屈を極端に広くすると股関節周りから内股が張る感覚が分かる)
股関節の使い方
足裏を床に密着し、膝を支点に上腿を外旋、下腿を内旋する
足底に密着さすときくるぶしの位置に力が掛るように
下半身を頑強に立つ方法
・ 常に両足からの腰の中心部に内転筋を使って押し上げる
それは力学的に三角形が四角形より頑丈な原理を考えて
立った形が四角(台形)ではなく常に三角形になるようなイメージ
練習
・ 前屈から半身/正面の切り替え練習
半身で上段順突き :
膝が外へ開かないように膝を床方向に向けたまま腰を半身に回転
そのとき後足の内股が張り両又を引き裂くような感覚を得る
中段逆突き :
前足の内股が締められるように後足からの突き上げで正面に腰回転
2.突き
力によらず高速の「突き」を得る為に腕、筋肉の使い方を違った視点から考えてみる。
空手を習い始めたとき、真直ぐに腰から極める所までの運動をイメージし、またそう教え
られてきた。
しかし厳密にその動きを観察してみると拳の軌跡は直線的であるかもしれないが、一
つ一つの動きを分析すると肩、肘などの関節を支点とした円運動の合成であることが分
かる。その原理を踏まえて効率的により早い突きを出せる方法を考えてみる。
単純に考えると突きの力、スピードは出そうとする、その一瞬に動かされる筋力によ
り拳は押し出される。しかしこの時、この拳が加速度的に力が加えられるなら、それは
まるで「鞭」のようにしなりながら速度が増幅されてより大きな力と成り得る。
ではその動きを分解して説明する。まず肩を支点とする上腕の回転運動、肘を支点
とする前腕が伸びる回転運動、そして拳の捻り運動に分ける。
@肩を支点とした回転運動による突きの初速度を A とする、この時はまだ肘を支点と
した下腕最初に腰に構えた時の角度をゆるめないで保持する。そして@の運動が終点
に達する寸前。つまり肩支点の回転速度が最高に達した時点でA肘を支点とした前腕
の肘を支点とした回転運動を加える、それを B とすると末端の拳に於ける運動はA+B
と加速されたものとなることが分かる。
@肩関節を支点にした上腕の回転運動 A肘関節を支点とした前腕の回転運動

B手首の捻りを加える

これらのタイミングを調整することにより、拳は直線的に運ばれる。
ここで各支点からの回転(ヒンジ運動)だけではなく、腕全体が柔軟に鞭がしなるよう
に動かす。突きは速さと云うより加速度を上げるように心がけるなら、非力な者でもす
るどい突き、極め力を生み出すことができる。
ちょうど下の写真のように鞭がしなるような動きをイメージすればよい、また拳が構え
た横腹から渦巻き状に飛んで行くような感覚、これはclothoide曲線と云って中心より
加速度的に回転しながら飛び出す。
練習方法
1. 拳を胸の前に手平が手前になるように構える(肘をたたむ)
拳が胸の中心を通って突き出すが、拳は最後に捻るようにスナップ
2. 次に引き手を使って同様に、弾くように突く
3. 通常より少し上から突く
突きはやや内側から螺旋状に飛び出す感じに突く。
肩回転から肘の伸ばし、コブシの回転と微妙に時間差を持ちながら
突くことで、拳のスピードが加算されるように増速される
4. 腰の力を加える、このとき回すより弾く感じで腰を使う,回転は体の
中心線から起動する感覚で動かす。
意識で威力向上
1. 肩関節、肘、手首を使った「ムチミ」の突きに更なる威力を出すために
肩甲骨を柔らかく使い上半身の胴体全体をムチのようにしならせれる。
具体的には突き手側の肩甲骨を下からやや前気味に落とすように肩
関節から肘を押し出す
( 肩甲骨を意識することによって肩があがる、脇が空くことなくせる)
2.
突きの極め
極める最後の時点で拳の捻りを使うが、この時に拳の回転軸を正しく
作ることで極めの強さをつくる。
また肩が揚がったり、突きのコースが最短距離にならなかったりして
しまうのはこの回転軸が間違ってるからである。
下記の図のように前腕は親指側にある橈骨と小指側に位置する尺骨
の二本の骨で構成されている。
拳の手の甲側が下を向いている状態から上に向くように回転するので
あるが尺骨は肘関節に直接繋がっている、しかし橈骨は肘関節からは
直接接触していない、この構造があるから、この橈骨を尺骨の上に被
せることにより手首は回転させられるのである。だから小指側が軸にな
る、これを親指側を軸に小指側を回そうとすると尺骨が肘関節の繋がっ
てるため肘が一緒に動き、脇が空いた突きになってしまうのである。
(赤色が橈骨、青色が尺骨)
意識で威力向上
1. 肩関節、肘、手首を使った「ムチミ」の突きに更なる威力を出すために
肩甲骨を柔らかく使い上半身の胴体全体をムチのようにしならせれる。
具体的には突き手側の肩甲骨を下からやや前気味に落とすように肩
関節から肘を押し出す
( 肩甲骨を意識することによって肩があがる、脇が空くことなくせる)
2.
突きの極め
極める最後の時点で拳の捻りを使うが、この時に拳の回転軸を正しく
作ることで極めの強さをつくる。
3.
体の正中線を挟んで体の反対側の活用
引手をただ単に真直ぐひきつけるだけでなく、突きの拳の回転に同期して
この引手の拳も同じ強さ、タイミングで極めることで体の中心を介しての動
きが体幹を使った技に高揚さすことができる
4..
回転の支点を意識する
全ての運動が各部位の回転運動の合成であるとするならば、その支点は
固定されていなければならない。例えば蹴りのときの膝、突きの時の肘が
下図のようにずれれば末端の部位が加速度的に走る力がぬかれてしまう
5.
突きで肩が揚がらないようにする為には
力んで肩が揚がり、突きのスピードが出ない時
上腕の回転においてその軸(回転の支点)がずれてる場合がよくある
@構えた時の上腕と肩のの位置 A正常な突きでは支点が同じ位置にある B力んで肩から出る人は緑から赤にずれる
修正方法として@の構えから肩甲骨を落とすように背中の方から突き出す気持ちでゆっくりやってみる
または緑の点に逆の手の指で押えてその指が動かないように突いてみる
3.蹴り
@股関節を支点に大腿(ふともも)を回転 A膝を支点に下腿を回転

B膝をたたむ B蹴り
ポイント : 膝の畳み込みの瞬間では大腿はすでに引き戻されかかっている。
原理
各関節を支点に回転運動をするが、タイミングを少しずらすことにより鞭の原理
で打撃を与える部位に加算された速度を生む。
例えば蹴りでは、下肢を膝下に、畳むだ状態から、まず膝を胸へ抱え、最上位
置に到達する寸前に、膝から下肢を弾くように蹴り出す、下肢が伸びきる寸前
に腰から抱えた膝を戻すことを始める、やや遅れて膝から下肢を伸ばした所か
らまた畳み込む、つまり腰から蹴り出し、腰から引き込む、腰で蹴る蹴りとなる。
これをまた違った観点から云うならば、下肢の回転速度は支点の膝が一瞬止
まり、ブロックされることにより回転は加速される。
支点たる膝が一緒に動いては末端にスピードが加速されない。
(極端に云うと、下肢を伸ばしながら支点となる膝は逆に引き込む)
練習方法:
(蹴1) 前屈から、蹴足を構えた位置から、そこまで、一機に蹴って戻る。
(蹴った後の着地を強く踏み込んでみる)
(蹴2) 最初の抱え足の時に踵を太腿まで畳んで、そこままでスナップ
(蹴3) 腰で蹴る、抱え足を取るときには股関節反らないように注意。
ポイント
1.下肢(踵)をまず先に畳むでから膝を抱えこむ
2.鼠径部を締めて股関節を鋭角に畳みこむ
3.軸足をしっかり足底部全体で踏みつけてから蹴る
4.下半身からの体の運び
練習方法:
足先を遠く出しながら、腰を押し出す。
最初は4挙動でゆっくり、少し早く1挙動
(1.膝を曲げる 2.足をゆっくり押し出す
(3.着地しながら腰を押し出す 4.膝を曲げたまま戻る )
腰はこの時、回転させないで押し出して、極める
(通常より幅が広く、前屈の膝が少し鈍角になるぐらいがいい)
注意 足先を出すとき腰は反らないよう、骨盤を水平に保ったまま。
足裏「の」の字に床に密着、押し付ける感覚
体幹で重心を前方に落とし込む
足を進行方向に大きく踏み出すと同時に引手側を大きく進行方向と
逆側に引っ張ることで体軸を中心に体全体で技を出す感覚をつかむ